屋久島では千年を超える杉をヤクスギと呼んでいます。その中でも特に老齢であったり、特徴のある木には固有名もつけられています。手軽にヤクスギの木々を見たいのであれば、このヤクスギランドがお薦めです。自然休養林として管理される、この公園は安房川支流の荒川に沿った森林中に、30分から150分まで四つの歩道が整備されています。
その中で今回は、50分のコースを散策して頂きます。これらの歩道を散策することによって、ヤクスギを手軽にしかも間近で見ることができます。雑然とならぶ木々に埋もれて、これらの杉は立っていて、屋久島の森を体験できる場所でもあります。このあたりは江戸時代に盛んに伐採されていた森の跡とのことなので、今残っているヤクスギは、それを利用する人間にとって何らかの難点をもっていたために材木にされずにすんだ経歴をもつ幸運な木々達といえます。したがって、どの木にも一癖あるのです.また、大きさ的にも際立った感じの木はなく、標識を見て名前をもつような木であることを知るものもあります。ヤクスギランドの前から、さらに安房林道をさかのぼると、巨木の紀元杉が林道脇に立っています。
バスで行って、記念写真を撮れるような観光名所としてなりたつようなヤクスギはこの木ぐらいです。
島南部の鯛之川の滝です。美しい滑らかな花崗岩の岩面を流水が滑り落ちていきます。滝の手前西側に広がる巨大な一枚岩と合わせた景観がこの滝の特異性でしょう。島に降る多量の雨は、いく筋もの川となって硬い岩をも削ります。この千尋滝はモッチョム岳の裾の巨大な花崗岩の岩盤を鯛之川がきざんで、壮大なV字谷の景観をつくりだしており、滝の落差は約60mです。滝の左側には,巨大な花崗岩の一枚岩が見られます。
また、小高い展望台から海側を見下ろすと,ポンカン畑や美しい海岸そして雄大な太平洋が眼下に一望できます。
また、県道から千尋滝までの沿線周辺では、ポンカン畑などを猿から守るための電気柵が見られます。
この千尋の滝の名前は,昔から人が両手を拡げた大きさを“一尋”と呼び,身体のモノサシとして使っていたところに由来します。滝の左側にある岩盤は,まるで千人が手を結んだくらいの大きさだということで名づけられました。
<本館> 屋久杉造りのエントランスホールは杉の香あふれる明るい空間、ビデオと地形模型で屋久島のアウトラインを知ることができます。1660歳の屋久杉が置かれた屋久杉探検館では、屋久杉の生態や伐採の歴史が展示されています。昔の伐採の道具や平木の話が興味深いところです。自然パノラマ館はナナカマドが着生する大杉を中心にした植物の垂直分布のジオラマです。亜熱帯の平地から照葉樹林、屋久杉帯、さらにシャクナゲと高山植物の山頂へと植物登山が体験できます。屋久杉の木組みが楽しめる一階ギャラリーでは、特別展や情報満載のハイビジョンマルチメディア、屋久杉伐採の歴史的映像が公開されています。
<別館 屋久杉の館> 幅5m、重量8t、つくば博出展の巨大根株は樹齢2千年。そこには2百年前の平木採りの斧跡が残されています。
江戸時代の残材である土埋木から屋久杉工芸品へと、屋久杉と人のかかわりにさらに踏み込んでいるのが別館です。屋久島の多様な樹木を利用した木工品の開発に取り組んでいるクラフト室では、定期的なクラフト教室やさまざまな木工体験が行なわれています。
遊歩道が渓谷沿いに設けられていて、雲水歩道を白谷の急流を鑑賞しながら、白谷雲水峡の東側を登っていくのが、楠川歩道です。979メートルの辻峠を越えて大株歩道に出ます。急峻な安房川を遡るよりも、この峠を越えたほうが、距離的にも短く、もともと小杉谷方面の作業道として使われていた歴史を持つようです。森林軌道や林道が開削される前に切り出されたヤクスギは、人々の背によってこの峠を越えていったことになります。白谷雲水峡から、楠川歩道を少し下った場所には、三本の直立した大木が並んでいる三本杉もあります。
屋久島の自然と共生する新しい地域づくりをめざす「屋久島環境文化村構想」を推進するための拠点施設。エントランスホールでは地図、ビデオ、パソコンなどで、屋久島の自然、気象、交通、文化などの情報を提供。さらに展示ホールは吹き抜けの空間にらせん状のスロープを設け、屋久島の海から里、森、山頂へ順を追って分かりやすく紹介。
大型スクリーンで上映される屋久島の自然も必見です。
ガジュマルは屋久島、種子島以南に分布するクワ科の植物で、島内の沿岸部では至る所で見られますが、その中でも志戸子はもっとも規模の大きな密生地といえます。枝から垂れ下がっている気根が特徴的で南国的な雰囲気をかもし出しています。枝や気根が入り組んでいるので、昔はこの木でかくれんぼなどをして遊んだという思い出を持つ地元の方々も多いようです。他の植物に着生して締め枯らしてしまうこともあり、園内の奥の方には,タブノキに着生しているものがみられます。ガジュマル園といっても、ガジュマルだけが生えているわけではありません。足下をみると、クワズイモをはじめ、ヒトツバ、オオタニワタリなどの林床植物も特徴的です。
屋久島では、海辺の集落を守る防風林や防潮林として、島の海岸部に多く見られます。少し離れた所から、ガジュマル園を眺めてみると、集落と海岸線の間に挟まれるようにして林が広がっているのが分かります。サンゴ礁の海岸横にあり、屋久島最大のガジュマル公園。樹齢500年以上といわれる巨大ガジュマルをはじめ、モクタチバナ、大きなクワズイモ、その他の亜熱帯の植物が多く見られます。